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【笠嶋】声に出して少し速く読んでみよう!

 購読しています「みやざき中央新聞」の社説が、なるほど!と思いましたので、一部、ご紹介致します。
 以下、2016年11月28日号より抜粋です。

 「可塑性(かそせい)」という言葉がある。

 たとえば、粘土の一か所を指で強く押すとその部分が凹んで、戻らない。あるいは、プラスチックに熱を加えるといろんな形に変化し、冷却すると固まって元の形に戻らない。

 さらに、凹んだ粘土にまた別の力を加えれば元の形に戻すことができる。プラスチックも再び熱を加えることで、また違う形にもなるし、元の状態に戻すこともできる。これが「可塑性」の特徴である。

 以前、人間の脳は「非可塑性」といわれていた。どこかの細胞が損傷したり、劣化して認知症などの障がいを持ってしまうと、二度と元の脳には戻らないというのが通説だった。

 ところが、近年、脳には「可塑性」があることが、さまざまな実験で証明されている。脳細胞のどこかが損傷しても別の細胞がその機能を補ったり、「ある学習療法」を取り入れることで認知症が劇的に改善して、元の生活を取り戻したという症例が報告されているのである。

 『致知』という月刊誌の12月号で、東北大学の川島隆太教授が興味深い話をしていた。川島さんといえば「脳トレ」ブームを世に巻き起こした人である。

 「高齢になって脳機能や生活の質が低下する一番の要因は記憶容量が小さくなることです」と川島さん。

 机に例えてこう説明していた。若者の脳は大きな机のようなもの。広いのでパソコンやノート、たくさんの資料を机の上に広げることができるが、高齢になると机が狭くなり、その上に置けるものが少なくなる。最後にはノート一冊すら広げられなくなるという。

 そして、恐るべきことに、「昨今の若者の脳が高齢者の脳と同じ状態になっている」と川島さんは指摘する。電子ゲームやフェイスブック、ツイッター、ラインなどのSNSを1日何時間もやっている若者たちの脳である。

 ところで、「科学」というものは、最初にある仮説を立て、それが正しいかどうかを実験して証明するものだが、30年ほど前、大学院生だった川島さんは、ある仮説を証明するための実験をしていた。

 それは「人の脳は、楽しいことをしているときは活性化し、嫌々しているときは働かない」という仮説である。至極当たり前のように思われるが、それを科学的に証明しようとしていたのだ。

 「楽しいこと」とは電子ゲームで、「嫌々すること」とは教科書を読むとか計算ドリルなどの勉強だ。

 実験結果は、川島さんの予想した仮説と正反対だった。ゲームをしているときの脳は活性化するどころか逆に抑制が掛かっていたり、眠った状態になっていた。一方、嫌々でも勉強をしているときの脳は活発に働いていた。

 この理由が分からず、またゲーム会社と提携してやっていた実験だったこともあり、川島さんはそのデータを世に発表できず、何年もお蔵入りさせていた。

 後に川島さんは新しい仮説を立てた。「計算や文章を読む刺激によって、脳を発達させる何らかの遺伝子が発現しているのではないか」と。

 昔、寺子屋などで子どもたちは「読み・書き・そろばん」を習っていた。その遺伝子が現代の子どもたちの脳にもしっかり組み込まれているのかもしれない。

 先に紹介した認知症を劇的に改善させた「ある学習療法」とは、文章を声に出して読む「素読」である。「素読」は、黙読と違い、視覚の情報を音(声)に変換させる。その時、口を動かす。息を出す。その音を耳が聞く。読む速度はゆっくりではなく、少し速く読むのがポイントだそうだ。

 こういう二重三重の機能が脳の「可塑性」を刺激し、お年寄りだけでなく、ゲームやSNS漬けになって劣化した若者の脳さえも元気な脳に蘇生させるという。

 ただ、分かっちゃいるけどやめらないゲームやSNS。「アルコールやタバコのように規制の対象にすべき」と川島さんは言う。そういうことになる前に「素読」を生活習慣にしてみるのはどうだろうか。

 いかがでしょうか?そう言われると、声に出して読む機会は普段なかなかありません。でもそれだけで脳が活性化するのなら、簡単なことですね!